
- 作者:斎藤勇哉
- 発売日: 2020/11/30
- メディア: Kindle版
目次
目的
- 脳MRI画像を用いた解析手法を紹介
0. はじめの一歩
脳画像解析をする上で、まず初めに覚えておきたいことをまとめています。
画像表示ソフト(Viewer)について
さまざまな、画像表示ソフトがありますが、ソフトによってできることが様々で使用目的も異なります。
MRIcron
公式ホームページは、こちら。
基本的な画像表示ソフトウェア。他のソフトウェアよりも動作が軽く、一番使うかも。
ITK-SNAP(準備中。。。)
公式ホームページは、こちら。
自分はROI作成をするのに、よく用いるソフトウェア。ITK-SNAPでは3Dの球形・立方体のVOIを作成することもできる。また、x, y, zの解像度がことなっていてもiso tropicデータとして補完して表示してくれるのもITK-SNAPの特徴で、ROI作成をする上では大変便利。
使用例は、こちら。
FSLeyes(準備中。。。)
FSLで解析した結果を見るのに、よく用いる画像表示ソフトウェア。複数の画像を同時に重ねて表示したり、4D画像(ex. 拡散MRI画像)のVolumeを切り替えたりするのに便利。また、複数の断面を一度に表示したりすることもできる(Lightbox)。
公式ホームページは、こちら。
使用例は、こちら。
MRView(準備中。。。)
公式ドキュメントはこちら。
MRtrixで生成した結果を見るのによく用いる、画像表示ソフトウェアでトラクトグラフィー、Constrained spherical deconvolution (CSD)のresponse function、fiber orientation distribution (FOD)を可視化することができる。
使用例は、こちら。
FreeView(準備中。。。)
公式ホームページは、こちら。
構造画像解析FreeSurferの結果を、見る際に用いる画像表示ソフトウェア。
使用例は、こちら。
Linuxのお作法(基本)
(準備中。。。)
1. 前処理
1.1. DICOMのソート (Sort) 処理(準備中。。。)
MRIでは、様々な種類の画像を撮像するが、MRIから出力する際には撮像シリーズ (Series) ごとに分けられていない。そこで、ごちゃ混ぜになったデータを撮像シリーズごとに分けるという処理をする。これをDICOMのソート処理という。
DICOMのソート処理の例は、こちら。
1.2. DICOMをNIfTIに変換
MRIで撮像したデータは、DICOM形式で保存される。脳画像解析では、NIfTI(The Neuroimaging Informatics Technology Initiative)と呼ばれる画像形式(フォーマット)を用いる。
1.3. 拡散MRIの前処理(歪み補正&頭の動き補正)
拡散MRI (Diffusion MRI) はEcho Planer Imaging (EPI)というシーケンスで撮像されているが、EPIは磁化率効果による影響に敏感であり、画像が歪むという問題がある。
拡散MRIでは、水分子拡散状態を可視化する技術である。水分子の動きをとらえるためには、Motion Probing Gradient (MPG)という水分子の動きを検出するための傾斜磁場を何種類(何軸)も用いる。その結果、脳の拡散MRIでは脳画像というVolumeデータが、MPGの数に応じて複数Volume撮像されることになるが、撮像中に頭が動くことによってVolume間の位置が合わないという問題がある。特に脳画像解析では、Voxel単位という小さなマスの中で解析をするので、撮像中の頭の動きで生じる、Volume間の位置ずれは解析結果に影響する。
そこで、拡散MRIで得られた脳画像に対して、「画像の歪み補正」と「頭の動き補正」をする。
2. 定量値の計算
2.1. 基本的な拡散定量値 (DTI/DKI/NODDI)
拡散MRIは、単に水分子の拡散状態をMRIの信号値で可視化した画像であるが、MRIの信号値は絶対量ではないので、この画像では群間比較のような相対評価はできない。そこで、拡散MRIから水分子の拡散状態を定量し、絶対量を計算する。定量方法はさまざまであり、次のような手法が提案されている。
- 拡散テンソルイメージング (Diffusion Tensor Imaging: DTI)
- Fractional Anisotropy (FA)
- Mean Diffusivity (MD)
- Axial Diffusivity (MD)
- Radial Diffusivity (MD)
- 拡散尖度イメージング (Diffusion Kurtosis Imaging: DKI)
- Mean Kurtosis (MK)
- Axial Kurtosis (AK)
- Radial Kurtosis (RK)
- 神経突起方位分散・密度イメージング (Neurite Orientation Dispersion and Density Imaging: NODDI)
- Intracellular Volume Fraction (ICVF)
- Orientation Dispersion Index (ODI)
- Isotropic Volume Fraction (ISO)
以上の定量値は、我々が導入したMATLABで動作するソフトウェアで計算可能である。
2.2. Diffusional Kurtosis Estimator (DKE) を用いた拡散尖度イメージング
Diffusional Kurtosis Estimator (DKE) は、DTIおよびDKIの定量値を算出する無償のソフトウェアである。Windows/Mac/Linuxに対応している。
2.3. 自由水イメージング(Free-Water Imaging: FWI)
脳拡散MRIの1つのボクセルには、何100万もの神経細胞が存在する。さらにその1つのボクセル内に脳脊髄液 (CSF)や浮腫のような自由水が存在する場合、DTIの定量値は影響を受ける(部分容積効果)。脳画像解析では、神経細胞や神経白質路の状態を正確に評価したいので、これらの自由水の影響を排除して定量値を求めたい。そこで、拡散MRIで得られる信号値は、脳実質 (intracell) と自由水 (extracell)の2種類componentから得られるとしてDTIを計算する。そうすることで、自由水による影響を取り除いたDTI定量値を計算することができる。もちろん、Voxelに存在する自由水体積分率 (free-water volume fraction)も計算することができる。
自由水イメージング(Free-water Imaging: FWI)を用いた定量値算出は、我々が導入したPythonで動作するソフトウェアで実行可能である。
2.4. 脳構造解析 (FreeSurfer)
脳には様々な領域が存在するが、FreeSurferを用いることで様々な脳領域を同定・分割することができる。さらに、それぞれの領域ごとに厚さ・面積・容積を計測することもできる。
FreeSurferで分割された脳領域を関心領域 (ROI)として、Diffusion MRIの定量値を脳領域ごとに計測することも可能。
3. 画像の統計解析
3.1. Tract-Specific Analysis (TBSS)
Tract-Specific Analysis (TBSS)は、白質路の統計解析をするための手法。
神経線維束の中心線(skeleton)に定量値を投影する。通常の脳画像の統計解析では、脳構造の個人差を除外するために空間的「平滑化」を用いる。しかし、平滑化の程度に原則がなく、平滑化をかけては情報があいまいになり、MRIの高空間分解能を生かせないという問題がある。一方、TBSSでは、神経線維束の中心線と思われるところにskeletonを生成し、そこに個人ごとの定量値を投影するという手法をとる。これにより、平滑化せずに群間比較をすることができるため、平滑化による問題を回避できるという利点がある。
3.2. Gray Matter Based Spatial Statistics (GBSS)
Gray Matter Based Spatial Statistics (GBSS)は、灰白質の統計解析をするための手法。TBSSの灰白質版。
(GBSS手法準備中)
3.3. Fixel-Based Analysis (FBA)
(FBA記事準備中)
3.4. FMRIB's Linked Independent Component Analysis (FLICA)
FMRIB's Linked Independent Component Analysis (FLICA)は、FMRIB'sが提供する独立成分分析 (ICA)であり、さまざまな画像を用いた、マルチモーダルな独立成分分析が可能。
4. その他
4.1. その他の脳画像解析
- 【脳画像解析】拡散MRIを用いたDTI / Tractographyの基本
- 【FSL】XTRACTを用いたトラクトグラフィー
- 【初心者MRI画像解析】DTIFITを用いたDTI解析
- 【MRI画像解析】ラット・マウスデータに対する前処理から定量値計算まで
- 【FSL】BEDPOSTXの使い方
- 【MATLAB】ComBatを用いた交絡因子の排除 (実践編)
- Registration-free Distortion Correction of Diffusion Weighted MRI ~Synb0-DisCoの実装~
- QSM解析 ~MEDIの使い方~
4.2. ROI解析
- 【FSL】MRI画像のレジストレーション(Registration)と関心領域(ROI)解析
- 【FSL】fslmathsの使ったROI解析
- 【FSL】TBSSで出た有意領域をマスクとして画像定量値を計測
- 【FSL】ROI(VOI)を用いた画像計測
- 【FSL】大脳基底核(Basal Ganglia)のセグメントと体積(Volume)計測
- FSLを使ったVolumeの一括計測
- FreeSurferの結果のまとめ方 ~aparc, aseg, wmparc, brainstem~
4.3. 脳画像解析における結果のまとめ方
4.3.1. 図(Figure)作成
- 【Python】箱ひげ図の作り方
- 【Python】バイオリンプロット(Violin Plot)
- 【Python】相関行列 (Correlation Matrix)とヒートマップ (Heat Map)の作り方
- 【Python】縦断データの可視化(プロット・箱ひげ図・バイオリン図・信頼区間・ヒストグラム)
- 【画像連結】画像をタイル状に並べる
4.3.2. 評価指標
4.4. 知っておくと後々幸せになるかもシリーズ
- 【FreeSurfer】FreeSurferの3D-T1WI前処理を使ってSkull Strip
- 【FSL】FDT pipelineを用いた標準空間(MNI空間)への位置合わせ
- 【脳画像解析】DWI maskの作り方
- 【FSL】Affine変換(平行移動+線形変換)
- 【Linux】DICOMのソート処理
- 【SPM】画像の解像度の変更(Coregistration)
- 【Linux】DICOMから被験者の情報を一括自動収集
- 【SPM】LinuxのターミナルからSPMを操作
- 【Linux】ファイルやフォルダを小分けにする方法
- 【FSL】Atlas(アトラス)を1枚1枚はがして別々にする方法
- 【Python】NIFITIからPNGへ変換 (COVID-19[新型コロナウイルス] CT例)
- 【Python GUI】Tkinterを使ったDICOMのコントラスト調節とBMP変換
- 【Python】if文を使ったファイル操作
- 【Bash】ファイル名一括変換
- PythonによるDiffusion MRIのbvec fileの極性変更
- Singularityのインストール (Ubuntu 18.04 LTS)
- Dockerのインストール (Ubuntu 18.04 LTS)
- 【Excel】書式のみのコピー
- 【Excel】文字列の足し算 (結合)
- 【Excel】重複する値(文字)の検索
- FSLを使った画像確認 QC
- .mgzから.nii.gzに変換する方法
- 【Python】フォルダのみの一覧リストを取得
- AscendingやDescendingを加味したDICOMからPNG変換
- 線形近似を用いた交絡因子の排除
- 【Python】DICOMからPNGやCSVに変換
4.5. 機械学習
4.5.1. 実装例
4.5.2. 実装技術
4.5.3. PyTorchチュートリアル(日本語)
- 【PyTorch】インストール方法
- 【PyTorch】チュートリアル(日本語版 )① 〜テンソル〜
- 【PyTorch】チュートリアル(日本語版 )② 〜AUTOGRAD〜
- 【PyTorch】チュートリアル(日本語版 )③ 〜NEURAL NETWORKS(ニューラルネットワーク)〜
- 【PyTorch】チュートリアル(日本語版 )④ 〜TRAINING A CLASSIFIER(画像分類)〜
- 【PyTorch】サンプル① 〜NUMPY〜
- 【PyTorch】サンプル② 〜TENSOR (テンソル) 〜
- 【PyTorch】サンプル③ 〜TENSORS AND AUTOGRAD(テンソルと自動微分)〜
- 【PyTorch】サンプル④ 〜Defining New autograd Functions(自動微分関数の定義)〜
- 【PyTorch】サンプル⑤ 〜Static Graphs(静的グラフ)〜
- 【PyTorch】サンプル⑥ 〜 nn パッケージ 〜
- 【PyTorch】サンプル⑦ 〜 optim パッケージ 〜
- 【PyTorch】サンプル⑧ 〜 複雑なモデルの構築方法 〜
- 【PyTorch】サンプル⑨ 〜 動的グラフ 〜
4.6. 趣味
4.6.1. 実装例
- Pythonを使った株価の自動収集
- 【Flask & Bootstrap】歌詞の内容をWord Cloudで可視化 〜Lyrics Word Cloud〜
- 【Flask & Bootstrap】じゃらんレビューを解析 〜じゃらん Analyzer〜
- 【LINE bot】おいら、だじゃレンジャー!
- 【LINE bot】おいら、だじゃレンジャー!その2
- 【Python】スクレイピングで使うテキスト処理
4.6.2. 実装技術
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